決算審査(審査意見)の結果

決算審査意見書(審査意見等)…令和3年8月23日付け市長へ報告

令和2年度滝沢市一般会計及び特別会計歳入歳出決算審査意見書

第1 審査の対象

令和2年度の歳入歳出決算の審査対象は、次に掲げる各会計決算である。

  1. 令和2年度滝沢市一般会計歳入歳出決算
  2. 特別会計
    1. 令和2年度滝沢市国民健康保険特別会計歳入歳出決算
    2. 令和2年度滝沢市後期高齢者医療特別会計歳入歳出決算
    3. 令和2年度滝沢市介護保険特別会計歳入歳出決算
    4. 令和2年度滝沢市介護保険介護サービス事業特別会計歳入歳出決算

第2 審査の期間

審査の期間は、令和3年7月9日、12日、20日、8月2日、10日、16日及び20日の7日間である。

第3 審査の方法

審査に当たっては、市長から送付された一般会計及び各特別会計の歳入歳出決算書、同決算事項別明細書、実質収支に関する調書及び財産に関する調書について、予算執行上、計数に誤りがないか、各会計の予算はそれぞれ予算議決の趣旨に沿い、かつ、関係法令等に基づき適正に処理されたか及び財産の管理は適正に行われているかに主眼を置き、抽出調査の方法をも併用して決算調製に必要な証書類等を点検確認するとともに、関係部課長等の説明を求めながら、あわせて既に実施した定期監査及び現金出納検査の結果を踏まえて厳正に実施した。

第4 審査の結果

審査に付された各会計の歳入歳出決算書及び関係書類は、関係法令に準拠して作成されており、歳入歳出その他関係帳簿及び証書類と照合した結果、その計数は正確であることを確認した。
また、予算の執行についても概ね適正であると認められた。

第5 審査意見

財政運営の状況について

令和2年度の一般会計における財政運営は、歳入においては、新型コロナウイルス感染症対策に関する国庫支出金や各種交付金、繰入金の増加などにより、歳入総額は前年度を大幅に上回った。

歳出においては、特別定額給付金事業等に係る総務費、小中学校ICT環境整備事業等に係る教育費の増加などにより、歳出総額も前年度を大幅に上回った。

また、新型コロナウイルスワクチン接種事業、小中学校ICT環境整備事業等の繰越があったものの、畜産試験場柳沢線道路改良舗装事業に係る継続費逓次繰越額が皆減となり、翌年度への繰越額は減少した。

不用額は衛生費及び土木費などで増加している。また予算の流用については、規定どおり行われているが多額にのぼり、目を越える流用もあることから、予算措置にあたっては今後とも充分に精査すべきと考える。

次に、令和2年度の普通会計決算を主な指標で見ると、財政構造の弾力性を示す経常収支比率は87.7%と対前年度比で3.5ポイント減少した。

また、一般財源の規模に占める公債費の割合を示す実質公債費比率は、6.2%と対前年度比で0.1ポイント増加した。

なお、令和2年度末の普通会計における起債残高は、186億円余と前年度末に比べ2億5千万円余減少した。

以上が、おおまかな財政運営の状況であるが、5年連続して実質単年度収支の黒字を維持し、厳しい財政状況のもとにあって、概ね堅調に推移したものと受け止められる。

令和2年度歳入歳出決算の特徴は、歳入歳出決算額が過去最高額となったということである。歳入に関しては、新型コロナウイルス感染症対策に関する国庫支出金等が多額に上り、特にも特別定額給付金等に係る特別定額給付金給付事業費及び事務費補助金だけでも55億4千万円余に上っている。その他にも新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金では6億7千万円余の交付を受け、県からの交付も合わせると総額が66億2千万円余に上っている。

この国庫支出金等により、当初予算に加え15次に亘る補正予算を組み、新型コロナウイルス感染症予防対策として各施設に必要な器具や備品などを整備するとともに、商工業や市民生活の安定化を図るべく、先般の特別定額給付金給付事業や、企業応援給付金事業を始めとする商工業者に対する各種支援事業など100を超える事業を実施したところである。特にも、滝沢の特色でもある学園都市に関わる学生応援事業、バスや電車の回数券等を補助する公共交通回数券購入等補助事業、国の持続化給付金に該当しない事業者を支援する滝沢市中小企業者等経営支援事業、特定給付金の対象とならなかった新生児に対する給付事業等も実施するなど初期の成果を挙げ得たものと思慮するものである。

一方で、このコロナ禍で予定されていた事業や行事、イベントなど中止や延期、縮小を余儀なくされたものも多々あり、これは事情やむを得ないものと思われる。

現在、新型コロナウイルス感染症については、ワクチン接種が進んでいるとはいえ、いわゆるデルタ株の急速な拡大により、終息どころか拡大傾向にあり、本県でも例外ではない状況である。こうしたことから今後においても、市民に対して基本的な感染症予防対策についての強いメッセージを発するとともに、有事の際には効果的、機動的な対策を実施することが肝要となっている。

市では、令和元年度からの4年間を第1次滝沢市総合計画の後期基本計画期間として、幸福感を育む環境づくりの実現を目指して鋭意各種施策を展開しているところである。そのため、全体として厳しい財政状況を見据えて自主財源確保の一環として財政構造改革に取り組むとともに、いわゆるふるさと納税にも力を入れ、また市税などの徴収事務の強化を図り収納率の向上にも努めており、成果を上げていると認められる。

新型コロナウイルス感染症の影響によって、経済活動の停滞や市民生活に多大な支障をきたすことが懸念される状況ではあるが、後期基本計画を実効性あるものにしていくためには、より一層、一般財源の確保に努めながら、限られた財源を重点的かつ効率的に活用していくことが求められる。

また、これから人口増加の鈍化と高齢化の進行に伴う経常経費の増加や、公債費の高水準での推移が見込まれることなどから、今後起債を伴う公共事業の実施に当たっては、滝沢市公共施設等総合管理計画個別施設計画に基づきながら実施するなど、起債残高の縮減や実質公債費比率の改善を図るとともに、不測の災害対応等を見据えた財政調整基金の一定程度の確保にも留意しつつ、健全かつ計画的な財政運営を推進していくことが必要であると考える。

定期監査等の結果について

「定期監査」は、40課・公所と6中学校(小中併設校含む)について実施した。その結果、文書による指摘は無く、概ね良好と認められたが、軽微な事項等については、監査の場で口頭により指摘し指導しているところである。

次に「財政援助団体等監査」は2団体について、「工事監査」は2事業についてそれぞれ実施したが、全体的に概ね良好と認められた。

次に「例月現金出納検査」で不適切な事務処理として改善を促した件数は30件となっている。

その内容は、支払いの遅れなど「政府契約の支払遅延防止等に関する法律」に違反するものが4件、支払科目の誤記入や検査調書不備など「滝沢市財務規則」に違反するものが26件となっている。この中でも特に対外的に影響を及ぼす「支払いの遅れ」については、行政に対する住民の不信を招くことに繋がるので、今後、十分留意されたい。

このような事項の中には、複数の職員で確認すれば防止できる単純なミスや特にも関係諸法令・諸規程に基づく財務事務に対する意識の欠如に起因するものなどが多く、これらの発生要因や再発防止策を共有するとともに、管理者の内部統制のもとで再発防止に努められたい。

また、職員構成を見ると比較的若く、実務経験に浅い職員が多く在職しており、市全体の業務が複雑・高度化し、かつ増加している中で、加えて、新型コロナウイルス感染症対策に関する事務事業が大幅に増加しているところであるが、中堅職員等による実務を通した指導が行われるような職場環境を醸成するとともに、特に会計事務にかかる実践的な研修体制の強化を図るなどして、人材育成と職員資質の一層の向上に努められたい。

令和2年度滝沢市定額資金運用基金運用状況審査意見書

第1 審査の対象

令和2年度の滝沢市定額資金運用基金運用状況の審査対象は、次の基金である。

  1. 岩手県収入証紙購入基金
  2. 国民健康保険高額療養資金貸付基金
  3. 福祉医療資金貸付基金

第2 審査の期日

審査の期日は、令和3年7月12日、8月2日及び10日の3日間である。

第3 審査の方法

審査に当たっては、基金条例の趣旨に沿って適正かつ効率的に運用されたか、また、計数が正確であるかについて実施した。

第4 審査の結果

基金の運用状況は概ね適正に運用されており、計数は正確であることを確認した。

令和2年度滝沢市水道事業会計決算審査意見書

第1 審査の対象

審査の対象は、令和2年度滝沢市水道事業会計決算である。

第2 審査の期間

審査の期間は、令和3年6月29日、8月2日、10日、16日及び20日の5日間である。

第3 審査の方法

審査に当たっては、市長から送付された滝沢市水道事業会計決算書が、地方公営企業法及びその他関係法令に準拠して作成されているか、また、水道事業の経営実績及び財政状態を適正に表示しているか否かを検証するため、必要に応じて関係職員の説明を求め、抽出調査の方法をも併用して会計帳票、証拠書類の照合を実施した。
次いで、経営内容の動向を把握するため、計数の分析を行い、事業の経済性及び公共性の確保の状況を主眼として審査するとともに前年度との比較考察を行った。

第4 審査の結果

審査に付された水道事業に係る会計決算、事業報告及び決算付属書類は、いずれも関係法令に準拠して作成されており、令和元年度における経営成績及び当該年度末の財政状態を、概ね適正に表示しているものと認められた。
また、予算執行についても、概ね適正に処理されているものと認められた。

第5 審査意見

令和2年度における経営成績(税抜額)は、営業収支では営業収益が9億4,876万円余に対し、営業費用が8億7,061万円余で、7,814万円余の営業利益を計上した。これに営業外収益と営業外費用を加減した経常収支では1億5,170万円余の経常利益を計上した。また、特別利益と特別損失がなかったため総収支でも1億5,170万円余の純利益を計上した。この純利益は、前年度に比較して、その他営業収益の水道加入金の減少等により373万円余の減となったが、経営的には安定した純利益を確保しており、概ね順調に推移したと認められる。

次に、経営の質的向上を図るため、重点的に取り組んでいる有収率の向上については、有収率(浄水場から配水された浄水のうち、料金として徴収される水量の割合)が93.3%で、前年度より3.8ポイント上昇している。また、有効率(浄水場から配水された浄水のうち、有効に使用された水量の割合)については 95.2%で、こちらも前年度より3.9ポイント上昇している。

水道事業においては、昭和50年代に布設された老朽管の布設替えに併せて管路耐震化も計画的に実施しており、令和2年度においては、湯舟沢地区ほか4件の工事で1,700メートル余について実施している。

また、平成28年度から本格的に実施している給水管や配水管等の漏水調査により、令和2年度は10件の漏水箇所の修繕工事を行い漏水を防止している。

有収率及び有効率については、ここ数年間においては一番高い数値であり、上記の対策が着実に成果として表われているものと考える。今後とも老朽管の布設替えと漏水調査による漏水箇所の早期確認、早期漏水防止により、有収率の更なる改善に努められたい。

加えて中長期的には水道事業施設全体の老朽化への対応が課題となっている。このことから、水道施設全体の更新需要を的確に把握し、重要度、優先度を踏まえた投資計画を策定するとともに、その資金需要に見合う適正な水道料金体系の在り方を明らかにすべきアセットマネジメントを実施しているが、これは財政の健全化を図り、持続可能な水道事業を維持するうえで必要不可欠であり、しっかりとした成果を挙げられることが求められる。

令和元年度から基本理念である「信頼され続ける水道」の具現化のための3つの施策目標、「安心・安全」「安定・強靭」「環境・持続」を達成するための取り組みを掲げた「滝沢市水道事業中期経営計画(後期)」がスタートしたが、この計画を着実に実行し、今後とも安定した水道事業の推進を望むものである。

令和2年度滝沢市下水道事業会計決算審査意見書

第1 審査の対象

審査の対象は、令和2年度滝沢市下水道事業会計決算である。

第2 審査の期間

審査の期間は、令和3年6月29日、7月1日、8月2日、10日、16日及び20日の6日間である。

第3 審査の方法

審査に当たっては、市長から送付された滝沢市下水道事業会計決算書が、地方公営企業法及びその他関係法令に準拠して作成されているか、また、下水道事業の経営実績及び財政状態を適正に表示しているか否かを検証するため、必要に応じて関係職員の説明を求め、抽出調査の方法をも併用して会計帳票、証拠書類の照合を実施した。
次いで、経営内容の動向を把握するため、計数の分析を行い、事業の経済性及び公共性の確保の状況を主眼として審査するとともに前年度との比較考察を行った。

第4 審査の結果

審査に付された下水道事業に係る会計決算、事業報告及び決算付属書類は、いずれも関係法令に準拠して作成されており、令和元年度における経営成績及び当該年度末の財政状態を、概ね適正に表示しているものと認められた。
また、予算執行についても、概ね適正に処理されているものと認められた。

第5 審査意見

令和2年度における経営成績(税抜額)は、営業収支では営業収益が7億9,583万円余に対し、営業費用が9億134万円余で、1億551万円余の営業損失を計上した。これに営業外収益と営業外費用を加減した経常収支では1 億3,177万円余の経常利益を計上した。また、特別利益が179万円余あったため、総収支では1億3,357万円余の純利益を計上した。この純利益は、前年度に比較して2,713万円余減少したが、要因の一部として流域下水道管理費の負担金増等の影響によるものであり、概ね順調に推移したと認められる。

一方、資金面で見れば、起債償還等に多額の資金を要しているが、流動比率が前年度の58.3%から74.7%へと上昇し、また内部留保資金は2億6,620万円余と前年度に比べ7,432万円余の増となり、徐々にではあるが改善されてきていることが認められる。

この資金力の強化については、下水道使用料の増収が不可欠であるが、下水道使用料収入については、基本使用料及び超過料金単価を平成30年度に改定しており、また小岩井処理分区の本格的供用開始や新規の住宅団地の造成などにより、水洗化世帯及び水洗化人口が増加し、5億2,010万円余と前年より2,279万円余増加してきている。この小岩井処理分区に関して、令和2年度末時点での接続率が56.1%に止まっており、投資効果の確実な発現を求めるとともに、更なる使用料の増収を図っていくことが求められる。

加えて、下水道施設においても水道事業と同様に、中長期的には施設の老朽化対策が課題となっている。このため令和2年度からアセットマネジメント計画の策定に着手し、将来の設備更新とその資金需要に対応した適正な下水道使用料の体系を確立することとしているが、これは財政の健全化を図り、持続可能な下水道事業を維持するうえで必要不可欠であり、この取り組みの成果に期待する。

平成29年3月に今後10年間を見据えた「滝沢市下水道事業経営戦略」を策定し、「資本費の削減」と「使用料の検証等私費と公費の適正化」などに取り組みながら、下水道事業の運営を進めることとしているが、今後とも新規整備に当たっては、費用対効果に留意するとともに、厳しいコスト意識に基づく経営の効率化と合理化により、経営基盤の強化を図りながら、下水道事業の推進を望むものである。

令和2年度滝沢市健全化判断比率等審査意見書

第1 審査の対象

実質赤字比率、連結実質赤字比率、実質公債費比率及び将来負担比率並びにその算定の基礎となる事項を記載した書類

第2 審査の期日

審査の期間は、令和3年7月20日、8月16日及び20日の3日間である。

第3 審査の方法

審査に当たっては、市長から提出された実質赤字比率、連結実質赤字比率、実質公債費比率及び将来負担比率並びにその算定の基礎となる事項を記載した書類が適正に作成されているかどうかを主眼として実施した。

第4 審査の結果

審査に付された、実質赤字比率、連結実質赤字比率、実質公債費比率及び将来負担比率並びにその算定の基礎となる事項を記載した書類は、適正に作成されているものと認められる。
なお、それぞれの比率については、以下のとおりである。

算定の基礎となる事項(単位:%)
(区分)(比率) 実質赤字比率 連結実質赤字比率 実質公債費比率 将来負担比率
令和2年度 6.2 57.3
算定の基礎となる事項(単位:%)
(区分)(比率) 実質赤字比率 連結実質赤字比率 実質公債費比率 将来負担比率
早期健全化基準 13.19 18.19 25.0 350.0
財政再生基準 20.00 30.00 35.0

令和2年度滝沢市資金不足比率等審査意見書

第1 審査の対象

次の公営企業会計にかかる資金不足比率及びその算定の基礎となる事項を記載した書類

  1. 滝沢市水道事業会計
  2. 滝沢市下水道事業会計

第2 審査の期日

審査の期間は、令和3年7月20日、8月16日及び20日の3日間である。

第3 審査の方法

審査に当たっては、市長から提出された公営企業会計にかかる資金不足比率及びその算定の基礎となる事項を記載した書類が適正に作成されているかどうかを主眼として実施した。

第4 審査の結果

審査に付された、それぞれの公営企業会計にかかる資金不足比率及びその算定の基礎となる事項を記載した書類は、適正に作成されているものと認められ、資金不足額は発生していない。