概要

朝な夕なにあおぎ見る岩手山(2,038m)は、滝沢市、西根町、松尾町、雫石町にまたがるコニーデ式火山で、岩手県第1位の高峰である。昔から信仰登山の対象となっていてその美しい姿は南部の片富士ともいわれ、岩手県のシンボルとなっている。

主に、7月から8月にかけての登山シーズンにはエゾツツジ、ウコンウツギ、ユキワリコザクラ、タカネウスユキソウ、ハクサンシャジンなどの数々の高山植物が咲き乱れ、登山者の目を楽しませてくれるが、岩手山の中でも特に頂上(火口を含む13ha)と9合目の不動平(15ha)が高山植物帯として国の天然記念物に指定されており、その大部分が滝沢市に入っている。

頂上は新しい時代の噴火によりできたもので火山砂礫であり、土壌や腐植質ができていない上に肥料分や水分が少なく、植物にとって最も生育条件が悪い所である。このような条件が悪い所でも生育する植物があり、その代表は高山植物の女王といわれるコマクサである。この他イワブクロ、オヤマソバ、イワスゲ、コタヌキラン、タカネスミレ、ミヤマイワニガナ、キバナノコマノツメ、イワテハタザオなどがあり、丈が10~20cm位しかなく、しかもまばらにしか生えていない。

一方不動平は古い時代の噴火によりできたもので、植物が生え出してからの歴史が長いため、土壌や腐植質ができていて、多くの高山植物が見られ、その中でも代表するものは1m前後のハイマツである。その他にハクサンシャクナゲ、ミヤマハンノキ、オオバスノキ、ミネヤナギ、ハクサンチドリ、イワギキョウ、コケモモ、コガネギク、マルバシモツケ、ミヤマハンショウヅル、ベニバナイチゴ、ハクサンボウフウ、ミヤマカラマツ、ヨツバシオガマ、トウゲブキ、ミネアザミ、ウサギギクなどが生え、お花畑といわれている天上の楽園をつくっている。

このように、頂上と不動平とでは植生が異なっており、それを同時に観察でき、しかもその移り変わりのようすが誰でも判ることは学術的にも価値が高いといわれている。

所在地

岩手山国有林93林班二4小班

指定面積

28ヘクタール

管理者

農林水産省盛岡森林管理署

指定年月日

昭和3年2月7日

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